2021年7月17日(日) 小田代ヶ原と戦場ヶ原 自然観察会

2021年7月17日(日)に、小田代ヶ原と戦場ヶ原で自然観察会を行いました。 

当日の朝の東武日光駅の天候は晴れ。素晴らしい自然観察会が期待できそうだ。東武日光駅にて、開会式、準備体操を済ませ、路線バスで赤沼バス停へ移動。開会式では主にコロナ対策及び熱中症対策を参加者へお願いした。赤沼バス停到着後、トイレを済ませ、2班に分かれて観察会を開始した。

この辺りはミズナラを中心とした森だ。バス停ではズミが実をならせていた。逆川から分かれた農業用水を右側に見ながら森の中を歩く。太平洋側気候のためミズナラの林床にはミヤコザサが群生していた。ミヤコザサの特徴は葉の裏が白く毛深い。皆で裏返し触ってみた。

直ぐに湯滝へ続く赤沼分岐があり、これをまっすぐ進んだ。ミヤマザクラが実をならせていた。湯川を渡る太鼓橋が見えてきた。マガモがいないか確認しながら、太鼓橋を渡った。直ぐにミヤマウグイスカグラの実を発見。赤い実にまで毛が生えていた。更に小田代ヶ原の展望台を目指し進んだ。

しばらくするとしゃくなげ橋へ続く歩道分岐があらわれ、これをまっすぐ進む。ミズナラ・ウラジロモミなどにからまるイワガラミ・ツルアジサイ・ツタウルシを発見。違いを確認した。イワガラミの葉の鋸歯はあらく、ツルアジサイの鋸歯は細かい。ツタウルシは3出複葉で、側葉の基部が左右非対称だ。又、ミヤマウグイスカグラが実をならせていた。

戦場ヶ原の展望台があらわれたので、立ち寄り休憩をとった。水分補給をしながら展望を楽しんだ。ノハナショウブ、イブキトラノオ、ハクサンフロなどが花を咲かせてい た。

休憩の後、更に小田代ヶ原展望台を目指した。しばらくすると鹿避け柵があらわれた。鹿柵の入り口を中へ入った。この鹿柵により、小田代ヶ原の花が回復したとの説明が書いてあった。カラマツ、ミズナラの森の中を進むと湯滝へ続く分岐に到着。これをまっすぐ進んだ。ニッコウアザミ、アヤメの花があらわれた。更に鹿柵の出口を出ると、車道へと繋がった。

車道にも沢山の花が咲いていた。カラマツソウ、ヤマオダマキ、ウマノアシガタ、ヤグルマソウ、アマニュウなどが花を咲かせていた。

ほぼ予定通りに、小田代ヶ原展望台に到着。コロナ対策をとって昼食とトイレを済ませて、班ごとに記念写真を撮った。遠くには男体山、大真名子山、小真名子山、太郎山が見え、小田代ヶ原の展望台の反対側に貴婦人(シラカンバ)が見えた。小田代ヶ原の標高は約1400mで、シラカンバとダケカンバとが混生していた。シラカンバとダケカンバの特徴から皆で見分けをした。シラカンバは樹皮に「へ」の字模様があり、葉の基部はくさび形か切形。ダケカンバは樹皮が少し褐色で、「へ」の字がない。葉の基部は心形か円形。又、ダケカンバは標高1400mから1500m以上に生育し、シラカンバはそれ以下に生育し、棲み分けている。

泉門池へ向け出発した。多くの花が咲いているため、参加者がなかなか前へ進まないことが予想された。2班の石井副班長に最後尾をお願いし、前進を促して頂いた。これが功を奏した。途中ホザキシモツケの群生、ノハナショウブの群生、ハクサンフウロの群生、サワギクの群生、キオンの花、ツルアジサイの花など、多くの種類の花が群生していた。ホザキシモツケの群生の向こうに大真名子山などの山並みが見られたのは圧巻であった。フタスジチョウを確認した。ホザキシモツケの葉はフタスジチョウの食草。

T字路を湯滝の方へ進むと鹿侵入防止柵ゲートがあらわれた。これを出て、泉門池を目指した。しばらくミズナラの森の中を進むとT字路に出た。これを湯滝方面へ進むと、クルマユリが咲き、ヤマアジサイが咲き始めていた。

泉門池に到着し、休憩をとった。泉門池は外山の東端に位置し、覆水流が湧き出ていた。ここにマガモが留鳥として棲みついているとのことであったが、今日は出会わなかった。参加者が泉門池の水に手を浸け冷たさを確認していた。私も手を浸けたが少し冷たい程度であった。

次に、赤沼分岐を目指し、出発。バイケイソウが群生しているところで記念写真を撮った。ノアザミの総苞の粘りを手で触り確認した。青木橋に到着。青木橋の上からバイカモの花を探すも、見つからなかった。2018年7月15日に来た時には咲いていたのだが、今年は湯川の水温が高いためなのだろうか。バイカモは滋賀県の醒井の地蔵川が有名だ。地蔵川の水は冷たい。

引き続き赤沼分岐を目指す。途中休憩所に立ち寄り、何回も、戦場ヶ原の湿原を観察した。ワタスゲ、レンゲツツジの葉、ミズチドリの花などを確認した。湯川に小さな魚が泳いでいた。明治35年に初めてカワマスの卵が放流され、外国要人の避暑地として、釣りが行われていた。今でも、お金を支払えば、釣りを楽しむことができる。

湯川の中に、ヤチボウズ(谷地坊主)を発見した。ヤチボウズの正体はオオアゼスゲだ。川の水位が上下しても、浸からない様になっている。

戦場ヶ原は2万年前に男体山が噴火し、東へ流れる川が堰き止められ、湖ができ、更に1万年前に、又、男体山が噴火し、噴出物が湖に堆積し、更に植物の遺体が泥炭となり堆積し出来た陸化型湿原だ。従って、湿原の周りの木が生えているところは土の部分が浅く、下が岩盤になっているため、根を下へ伸ばすことが出来ず、よく倒木が見られる。

更に進んで、男体山、大真名子山、太郎山をバックに全員の記念写真を撮った。その近くにトモエソウが咲いていた。

赤沼分岐に到着し、左折して、赤沼バス停に予定の15分前に到着した。2班も数分後に到着した。トイレを済ませて予定の15時58分のバスに乗車し、東武日光駅に16時56分に到着し無事に解散した。

今回参加して頂いた皆様に感謝。